□ 猫伝染性腹膜炎 FIPについて飼い主として経験した事と調べた事 □
作成日2018/03/03 最終更新 *1 2018/03/05
■ キーワード
猫伝染性腹膜炎・FIP
高用量ビタミン療法・シクロスポリン・クロロキン・ジフィリン・GC376
バイオウィル・プラズマクラスター
■ 目次
 ・ はじめに  ・ FIPについて  ・ 治療薬について
 ・ あると便利なもの  ・ 食べさせる事  ・ ウイルスに有効な消毒薬
 ・ 室内のウイルスを減らす事  ・ まとめ

よくアンニュイな顔をしていた女子
□ はじめに
2016年10月、我が家に1頭の猫を迎えました。
3ヶ月になるメインクーンの女の子。
明るいオレンジ色のふわふわの毛並で、初対面ですぐに髪の毛にじゃれついて、肩によじ登って、物怖じを全くせず、ちょっとぽやぽやしたところのある、非常におてんばなお嬢さんでした。
「これから10年20年とよろしくね。」
そういう気持ちで迎え入れました。
ですがこの子はFIPで亡くなってしまいました。2018年2月、1歳7カ月になる2日前の事でした。

はずかしながら、飼い主の私はこの子がFIPにかかるまでこの病気の事をよく知りませんでした。
そういう怖い病気があるらしい。知るのも怖い。そんな気持ちでした。
なので実際にこの病気に関わってしまった後、どうしていいかわからずに困りました。
多くの飼い主がおそらくそうだ思います。
このページはそんな飼い主の方々の助けになればと、私が調べた治療法や、飼い主にできる事をまとめたページになります。

このページの情報は個人が調べたものになりますので、情報が古かったり間違いがあったりすると思います。それをご理解の上ご参照ください。
またこのページの情報以外に有用な情報がありましたらぜひご連絡ください。
MAIL: analogy-y2000@hotmail.co.jp

FIPはいまだに原因も治療法もわかっていない、謎の多い病気です。
その上、非常に高い致死率で発症後の生存期間も短く、飼い主が戸惑っている間に時間がどんどん過ぎてしまいます。
そんな時間が無い中、少しでも可能性のある治療法を探したり、看病のために必要なものをそろえたりする事は大変です。
限られた時間で多くの情報を集めるために、このページが役に立てばと思います。
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食パンの踏み心地が最高
□ FIPについて
ここでは私が調べたFIPの情報をまとめています。
素人がまとめた文章ですので誤っている可能性がある事をご了承ください。
このまとめをヒントに、飼い主さんご本人で詳しく調べてみる事をお勧めします。
■ FIPとは
猫伝染性腹膜炎(FIP)とは、猫の腸炎の原因となるコロナウイルスが変異する事で生じる病気です。
変異したコロナウイルスは猫のマクロファージに取り込まれ、ウイルスを取り込んだマクロファージが正常な猫の細胞を攻撃する事で生じる血管炎が病気の主体です。
腹水が溜まるウェットタイプと、肉芽腫を形成するドライタイプがあります。
■ FIPの検査・診断
診断は血液検査や身体所見、そしてコロナウイルスの抗体価を測定する事で行われます。
しかしここで測定される抗体価は通常のコロナウイルスか変異後のコロナウイルスかを区別する事はできないため、確定は非常に難しいとされています。
■ コロナウイルス
コロナウイルスはどこにでもいるウイルスで、集団生活を行う猫のほとんどが持っていると言われています。
コロナウイルスを持つ猫の約1割がFIPを発症すると言われています。
変異したコロナウイルスが猫から猫へ伝染する事はないと言われていますが、FIPを発症した猫と他の猫は隔離する事が推奨されています。
■ 発症原因・発症リスク
ウイルスが変異する原因はストレスと言われています。
ストレスとして考えられるものには、去勢・避妊手術、ワクチン接種、環境の変化、新しい猫が増える、などがありますが実際はよくわかっていません。
猫自身の発症リスクとして、1〜3才の若い猫、または老猫である事、純血種である事、元々の免疫力が低い事、などがあります。
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ハンモックもお手のもの
□ 治療薬について
ここでは基本的な治療薬を含め、現在検討されている治療薬も挙げています。
根本的な治療法が確立されていないため、現在行われている治療は症状に対する対症療法となります。
現在検討されている治療薬については獣医さんに相談したり、それぞれの研究機関の最新情報を参照したりしてください。

少しでも可能性のある治療法を試したいという飼い主さんのために様々な治療薬を記載していますが、現在検討されている治療薬については対応が難しい事もあると思います。
希望の治療薬に対応できなくてもくれぐれも獣医さんを責めないようにしてください。
FIPといういまだ治療法がわからない絶望的な病気に対して、獣医さんも精一杯の事をしてくださっているはずです。
■ インターフェロン
FIPの基本的な治療薬となります。
抗ウイルス薬として使用されます。
■ ステロイド (*1 一部追記)
FIPの基本的な治療薬となります。
マクロファージの異常な免疫機能を抑える目的で使用されます。
抗炎症作用と食欲増進作用もあります。
また、利尿作用もあるのでおしっこの回数が増えます。
うちの子はステロイドの日の後は1日1〜2回だったおしっこが5〜6回に増えました。
免疫力が落ちるため抗生剤を併用する事が多いです。
プレドニゾロンが代表的です。
■ 抗血管炎薬
FIPの基本的な治療薬となります。
血管炎を抑制する目的で使用されます。
オザグレル(ベガ錠)が代表的です。
■ 高用量ビタミン療法
現在検討されている治療法のひとつです。
悪性腫瘍の治療などにも使用されています。
高用量のビタミンがウイルスの活動を抑制する効果を期待して使用されます。
うちの子は5日間連続のインターフェロンの後、ステロイドと抗血管炎薬とこの治療法で治療していました。
■ シクロスポリン (*1 一部追記)
現在検討されている治療法のひとつです。
免疫抑制剤のシクロスポリンがウイルスの増殖を抑える効果を期待して使用されます。
日本獣医生命科学大学で研究されています。
(とあるFIPの闘病ブログではステロイドとの併用治療中に肉芽腫に効果があったと報告されていました。)
■ クロロキン (*1 一部追記)
現在検討されている治療法のひとつです。
抗マラリア薬のクロロキンがウイルスの細胞内への侵入を阻害し、ウイルスの活動と炎症を抑える効果を期待して使用されます。
北里大学獣医学部で研究されています。
■ ジフィリン (*1 追記)
現在検討されている治療法のひとつです。
トウダイグサ科の植物から抽出される天然成分でV-ATPase阻害剤として働きます。
V-ATPaseが活性化すると細胞小胞のpHが低下しウイルス複製を促進します。
このV-ATPaseを阻害する事でウイルスの増殖を抑える効果を期待して使用されます。
台湾の中央研究院が中心となったチームで研究されています。
■ GC376 (*1 追記)
現在検討されている治療法のひとつです。
ウイルスの複製を調整する酵素であるプロテアーゼ・3CLpro阻害剤として働きます。
この3CLproを阻害する事でウイルスの増殖を抑える効果を期待して使用されます。
カンザス州立大学とカリフォルニア大学デイヴィス校の共同チームで研究されています。
(現在、延命には成功しているようですが神経症状による死亡までは防げないようです。)
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□ あると便利なもの
■ チャオちゅ〜る総合栄養食
おやつのちゅ〜ると違い、カリカリと同じ総合栄養食となります。
おやつのちゅ〜るは7kcalですがこちらは14kcal。
FIPでは摂取カロリーを保つ事が重要になるので1本で2倍のカロリーを摂取できるのは非常に嬉しいです。
健康な時からちゅ〜るの箱を空けると飛んできていたうちの子も、最後までちゅ〜るだけは自力で舐められていたので重宝しました。
フレーバーも数種類あります。
■ ヒルズ療養食a/d缶
まぜるとペースト状になり、注射器に入れて給餌する事ができます。
うちでは水分補給ができていなかったので、水を混ぜてとろみをつけて食べさせていました。
インターネットでも買えますがたいていの動物病院で処方してもらえます。
■ 注射器
強制給餌の際に必要になります。
あまり直径が細くないものがいいです。
仰向けで給餌すると誤嚥の原因になってしまうので、座らせるか伏せさせた状態で給餌してください。
口の奥のほうに突っ込むとそれも誤嚥の原因になるので、手前のほうの舌に少し載せて飲み込ませる→また少し載せる→飲み込ませる、を繰り返す方法がうまくいきました。
■ すり鉢とすりこぎ(または乳鉢と乳棒) (*1 追記)
カリカリを粉状にして食べやすくする場合に必要になります。
錠剤の薬を粉状にしておやつに混ぜる時にも利用できます。
粉状にしてもいいかは動物病院に確認してください。(動物病院によっては粉状にして処方してくれます。)
■ 湯たんぽ・ペットヒーター
体温を保つ事は重要です。
うちの子がFIPになったのは特に寒い冬だったので、湯たんぽとペットヒーターは必須でした。
■ トイレシート
猫のトイレは猫砂だけで十分なので私は持っていませんでしたが、寝床で失禁してしまうようになってしまったため寝床に敷いていました。
寝床で失禁した場合に猫の毛や毛布の濡れを最小限に抑えられて、体温が下がるのを防止できます。
■ ビニル手袋
100枚入りとかの使い捨て手袋です。
トイレの介護が必要だったうちの子の看病には必須でした。
トイレをハイターで洗う時も手荒れを防いでくれます。
■ ペット用除菌シート
ペットにも使用できる除菌シートはちょっとした食べこぼしやトイレの後を掃除するのに便利です。
■ 酸素室
貧血が進んだ場合、酸素室に入る事で症状を緩和できるようです。
うちの子の場合は利用しませんでしたが、酸素室を設置している病院や、レンタルでも利用できるようです。
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パソコンじゃなく私を見なさいアピール
□ 食べさせる事
FIPが寛解するか否かは、発症後も食欲を保てるか否かが関わってくるんだそうです。
うちの子は発症前からあまり食に興味がなく、発症の2カ月ほど前から緩やかに体重が減っていっていました。
そして発症後はちゅ〜る以外を自発的に食べなくなってしまい、4kgあった体重がみるみる減って、最後は3kgになってしまっていました。
できる限り食べさせて摂取カロリーを保つ事が、頑張っている猫のために飼い主ができる事のひとつだと思います。
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カリカリより猫草がすき
□ ウイルスに有効な消毒薬
発症してしまってからは無意味かもしれませんが、個人的には体外に排出されたウイルスだけでもできるだけ減らしたほうがいいのではないかと考えます。
体外に排出されたウイルスが再び猫の体内に入り、増殖するのを防げるのではないかと考えるからです。(あくまで個人的な考えです。)

FIPの原因となるコロナウイルスはほとんどの消毒液に感受性があります。
また空気中では紫外線などですぐに失活するほど弱いウイルスと言われています。
ただし弱いコロナウイルスでも糞便中では7週間は生きると言われているので、トイレはハイターで洗浄したほうがいいと思います。

猫の周りのクッションや毛布などにハイターを使う事はできないので他の消毒薬を使う事をお勧めします。
私が調べた中では、グッドウィルから発売されているバイオウィルが良いようでした。
ウイルスを消毒し、消臭効果もあり、無香料なので猫も嫌がらない。
何より商品試験で無刺激と確認されているので猫が舐めても大丈夫な安全性がうれしいです。
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大あくび
□ 室内のコロナウイルスを減らす事
消毒薬の項目でも書いたように、個人的には体外に排出されたウイルスをできるだけ減らし、再び猫の体内に入って増殖する事を防いだほうがいいと考えます。
室内に漂うコロナウイルスを減らすために、アナログな方法では換気や掃除をこまめに行う事が挙げられます。

また、FIPの闘病ブログなどで見る限りはプラズマクラスターが非常に有効なようでした。
それもイオンの発生量がより多い25000タイプのものがいいようです。
多頭飼育でFIPを経験した飼い主さんのブログでは、発症していない猫のコロナウイルス抗体価を下げる事が出来たと報告されていました。
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クマとばかり添い寝して飼い主は嫉妬
飼い主が寝落ちてからこっそり添い寝しに来る奥手さん
□ まとめ
■ FIPとは
  • いまだに原因も治療法もわかっていない、致死率の高い病気です。
  • はっきりとした症状が現れてからの生存期間が短く、飼い主が戸惑っている間に時間が過ぎてしまいます。
■ 治療薬について
  • まだ根本的な治療は確立されていません。
  • 現在はインターフェロン、ステロイド、抗血管炎薬を組み合わせながらの対症療法が行われています。
  • 現在検討されている治療には、高用量ビタミン療法、シクロスポリン、クロロキンがありますがまだ研究中です。
  • 海外ではジフィリン、GC376が検討されています。
■ あると便利なもの
  • 液状で食べやすく、高カロリーなものにチャオちゅ〜る総合栄養食やヒルズ療養食a/d缶があります。
  • 自分で食べられない猫には、強制給餌するために注射器が必要になります。
  • カリカリや錠剤を粉状にする場合はすり鉢とすりこぎ(または乳鉢と乳棒)が必要です。
  • 体温を保つために湯たんぽやペットヒーターが必要です。
  • トイレ介護等のためにトイレシート、ビニル手袋、ペット用除菌シートがあると便利です。
  • 貧血がひどい場合は酸素室を利用するという選択肢もあります。
■ 他に飼い主にできる事
  • できる限り食べさせて摂取カロリーを保つ事。
  • ウイルスに有効なバイオウィルなどの消毒薬でトイレや猫の周りのウイルスを減らす事。
  • 換気や掃除、プラズマクラスターなどで室内のウイルスを減らす事。
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ボールやペットボトルの蓋を投げてもらうのが好きだった
私の大好きなおてんば娘でした



□ いつかFIPが治療できるものになる事を切に願います □
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